「ゴジラ誕生祭2019」最凶最悪のゴジラと護国聖獣キングギドラ、因縁の対決ふたたび!? スーツアクターが裏話語る

1954年の公開から今年(2019年)で65回目の誕生日を迎えた『ゴジラ』を祝う、オールナイト上映&トークイベント『ゴジラ誕生祭2019』が、11月2日夜から3日朝にかけて池袋HUMAXシネマズにて開催された。『ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃』に出演した宇崎竜童と金子修介監督によるトークショー第1部に続いて、同作品で特撮演出を手がけた神谷誠監督(特殊技術)と、スーツアクターとして怪獣に生命を吹き込んだ吉田瑞穂(ゴジラ)、大橋明(キングギドラ)によるトークショー第2部が行われた。

2010年に「銀座シネパトス」(現在は閉館)にて始まった『ゴジラ誕生祭』は、4回目となる2014年より池袋HUMAXシネマズでのオールナイトイベントへと発展し、今年(2019年)で9回を数えるに至った。今年は京都(京都みなみ会館)との2会場同時開催となり、両会場では熱烈なゴジラファンがシリーズ第1作である東宝映画『ゴジラ』(1954年)の公開記念日=ゴジラの誕生日を盛大に祝った。

東京会場のゲストは、『ゴジラ モスラ キングギドラ(GMK) 大怪獣総攻撃』(2001年)で活躍したスタッフおよびキャストが大結集した。左から、大橋明、吉田瑞穂、宇崎竜童、神谷誠監督(特殊技術)、金子修介監督。大橋と吉田はそれぞれキングギドラとゴジラになりきり、劇中のバトルシーンを即興で再現してファンを興奮させた。

『ガンヘッド』(1989年)『ゴジラVSビオランテ』(1989年)『ゴジラVSキングギドラ』(1991年)『ゴジラVSモスラ』(1992年)、そして『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年)『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(1999年)などで特撮助監督を務め、本作『GMK大怪獣総攻撃』では特撮演出全般を手がける「特殊技術」としてクレジットされた神谷誠監督。

『GMK大怪獣総攻撃』は、ゴジラに「戦争で死んだ大勢の人間たちの怨霊の集合体」という属性を持たせ、生物の概念を大きく超えた「破壊の象徴」として描かれている。いわゆる「GMKゴジラ」のスーツはそれまでのゴジラよりもずっと巨大に造型されているのが特徴で、怪獣に生命を吹き込むスーツアクターも、大柄の吉田瑞穂がその体格を見込まれて選出された。

本作のキングギドラは、『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)や『怪獣大戦争』(1965年)のような宇宙超怪獣ではなく、『ゴジラVSキングギドラ』に登場したときの遺伝子操作で生まれた超ドラゴン怪獣でもない、山奥の氷の中で成長の時を待っていた「護国聖獣」=千年竜王という設定が与えられた。ゴジラより小柄なキングギドラというのは歴代シリーズでも初めての試みで、こちらのスーツアクターには細身の大橋明が選ばれている。

ゴジラ役をやってほしいと声がかかったときの心境は?という問いに対して吉田は「怪獣の中でもゴジラは別格ですから、ゴジラを演じられるチャンスが来たのは嬉しかった」と、大怪獣スターになれることへの喜びの大きさをふりかえった。

大橋は本作のキングギドラを演じるにあたって「やはり有名なスター怪獣ですから嬉しかったですよ。今回のギドラは”いいやつ”なんだな、珍しいな、がんばろう!と思った(笑)。ただ、両端の首の中に左右の腕を入れて操らなければならないので、これがたいへんだった。『ギドラの目線が~』とか言われても、スーツの中からどっちの方を向けばいいのかわからないですからね。目線? 何を言ってるんですか!? って(笑)」と、キングギドラの左右の首を自身の腕によって操作する難しさを苦笑しつつ語った。

『GMK大怪獣総攻撃』での特撮班の撮影はかなりスケジュールが遅れ気味で、前半部でのゴジラとバラゴンとの戦いが繰り広げられた「大涌谷」の撮影では、神谷監督が毎週のようにプロデューサー室に呼び出され「なんでこんなに遅れているんだ! とかなり怒られた」と、冷や汗まじりにコメントした。

スーツ造型についての話題では、吉田が「最初、ゴジラは恐竜をイメージして前傾姿勢で造型されていたが、途中から人間のような直立体勢に代わった」と証言。これについて神谷監督は「当初の企画では、大きなゴジラに小さな3体の怪獣(バラン、バラゴン、アンギラス)が挑むというものだったんですが、バラン、アンギラスがモスラ、キングギドラに変更されたことにより、空を飛ぶこいつらと戦わなければならなくなり、ゴジラが上を向くように修整したのです」と、興行的戦略によってスター怪獣の投入が決まり、そのためゴジラの造型コンセプトを変更せざるを得ない状況になった裏話を明かした。

ゴジラのスーツは足の部分が上げ底になっていて、非常に歩きにくかったという。吉田は「花魁の高下駄みたいな感じ」とゴジラスーツの足の巨大さを表現し、バラゴンとの格闘シーンのとき「激しいアクションはそれほどなかったのですが、もしも足をひねってしまったら骨が折れてしまいかねない、危険がありましたね」と、巨大かつ重いスーツでのアクションがいかに危険を伴うかを語った。ゴジラが尻尾でバラゴンを弾き飛ばすシーンでは「どうしても尻尾の遠心力でゴジラの身体全体がグラついてしまうので、そのときだけは、いつも見せないよう努力している”足の裏”を見せつつ、バランスを取って動いていました」と、アクション面の苦労を打ち明けた。

従来のキングギドラは、ワイヤーで3本の首や2本の尻尾、左右の翼を動かす都合上、アクティブに動きまわることがなかなか難しく、ゴジラとの戦いでも「画面中央に立つキングギドラの周りをゴジラやラドンが動きまわる」というアクションが主体となっていた。『GMK』ではギドラの首の中に演者の「腕」を入れることによって、ワイヤーに頼らず動きまわることのできるギドラ像を作り上げようとした。しかし大橋にとってはかなり過酷な撮影だったようで「スーツを着たまま”待機です”と言われても、両腕が上がったまま休憩するんで疲れるんです。もうなるべき待機はしたくなかった」とこぼし、神谷監督が「すみませんでした!」とお詫びする場面があった。

ここで、大橋が撮影当時から思っていた疑問を神谷監督に投げかけた。それは「ギドラが空中に吊られて、ゴジラを攻撃する場面がありましたが、あれって僕が中に入る必要ありましたかねえ?」というものだった。神谷監督は「いや、やっぱり中に人が入っていると臨場感が違いますよ!」と、スーツアクターの”魂”が込められているからこそ怪獣が魅力的に見えるのだと力説。これを聞いた大橋も「まあ、魂は常に込めていましたから!」とスーツ演技にはいつも全力投球で挑んでいたと話し、納得したようすを見せた。吉田からは「逆にスーツに誰も入れていないと”あれ、入れないんですか?”って訊いたりするよね(笑)」と、たとえ激しい動きのないシーンであっても、中にアクターが入ることによって”芝居”が生まれるのではないか、という意見が飛び出した。

続いて、吉田と大橋による『GMK』名場面の”再現”が披露された。吉田演じるゴジラと大橋演じるギドラの激闘が繰り広げられる中、勢いに乗った神谷監督がモスラの役を演じ、ここに『GMK』三大怪獣の激突が実現した。

さらに、大橋がかつて「某・主役怪獣」を演じた経験があることから、ステージ上でゴジラとの”夢の対決”シミュレーションが行なわれることになった。両スーツアクターの迫真の怪獣演技によって、観客席にいるファンたちには、放射熱線、プラズマ火球、尻尾による打撃、ウルティメイト・プラズマなどが飛び交い、双方が技の限りを尽くして戦いあう大怪獣決闘映画のビジュアルが浮かび上がっていたものと思われる。

トーク第2部の終了後、時刻がそろそろ0時を示すのに合わせて、『ゴジラVSキングギドラ』のアンドロイドM11役で活躍したロバート・スコット・フィールドが、23世紀の未来からはるばる2019年の池袋へと駆けつけた。

ステージ上にはふたたび金子監督も登場し、大勢のゴジラファンと共に誕生日へのカウントダウンを行った。

カウントダウンに続いて、ロバート・スコット・フィールドの名物コーナー「アンドロイドと学ぶゴジラシリーズ英会話教室4」が始まった。今回は『ゴジラVSビオランテ』やアメリカ版『GODZILLA』(2014年)『ゴジラVSキングギドラ』などの作品から、劇中で使用された英語セリフと日本語訳、および日本語セリフの英訳、そしてゴジラ映画シリーズの海外向け英語タイトルなどが題材として扱われ、アメリカ・カリフォルニア出身で現在は大阪在住のロバートによるサービス満点のトークに合わせて、観客が楽しみながら英会話に強くなるという非常に実用的なコーナーとなった。

イベントの最後に、ゴジラファンに向けた最高のサプライズ映像が上映された。それは、『ゴジラVSビオランテ』から『ゴジラVSデストロイア』(1995年)まで、平成ゴジラVSシリーズと呼ばれる作品群の「予告編」ナレーターを務めてきた小林清志の新規録音音声を含む『ゴジラ誕生祭2020』のスペシャル予告映像だった。小林のナレーション、および画面上のタイトル文字はまさに「平成ゴジラ」テイストに満ちた見事な出来栄え。いよいよ10回目を数える来年の『ゴジラ誕生祭』について、これ以上期待をあおる演出はないだろう。

東京会場と同時開催された『ゴジラ誕生祭2019』京都会場(京都みなみ会館)では、『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)、『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』(1970年)『ゴジラ2000ミレニアム』(1999年)の3作品が上映された。トークゲストは、『ゴジラ2000ミレニアム』でゴジラのスーツアクターを務めた喜多川2tomと、篠田雄二(演:村田雄吉)の娘・篠田イオを演じた鈴木麻由。こちらも東京会場と同様に熱いファンの盛り上がりが見られ、出演者と観客が一体になってゴジラの誕生日を盛大に祝ったという。

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