【この2.5次元がすごい】誰もが知っているサザエさんの10年後 変わるものと変わらないものに注目

(C)長谷川町子美術館

 「2.5次元」と言えば、アニメや漫画、ゲームなどの原作を忠実に再現してくれるもの。すでに存在する物語を見せてくれるのを2.5次元舞台とすると、今回紹介するのは少し違います。それが舞台「サザエさん」。今年でテレビ放送50周年を迎え、まさに国民的作品です。そのサザエさんが舞台化されるとなり、大きな話題になりましたね。その10年後が舞台で描かれるということでもちろん見逃せませんでした。原作の先を描いているという点でもいつも紹介している舞台とは少し違う作品ですが、今回はこのサザエさんにフォーカスを当ててみたいと思います。

3世代が一緒に住む磯野家。毎日賑やかで、日常的なドタバタコメディを見せてくれていたこのファミリーですが、10年経つとどのような変化があるのでしょうか? わくわくしながら劇場に行くと、明るいサザエさんの世界が始まります。ステージ上には家をまるごと再現したようなセットが登場。家族が集まる居間のほか、波平さんとフネさんの寝室、サザエさん夫婦と子どもたちのフグ田家の部屋、そしてカツオとワカメの子ども部屋(もう大人ですが)も再現されている家のセットはステージ上を回転するように舞台転換をしていきます。
 アニメで見ていた世界そのままで、私たちが磯野家の間取りもわかるくらいサザエさんをよく知っているか気付かされるようでした。

変化する磯野家の在り方

そのおうちの中で繰り広げられるのが、家族の在り方を考えさせられるような物語。出世し帰宅が遅くなったマスオさんは毎日忙しそうで、大学生になったカツオはバイト、専門学校に通うワカメも課題が終わらずなかなか家族が居間に揃いません。それを少し寂しく思っているのが定年退職をした波平さん。なんだか、現代で私たちが直面する家族のすれ違いが凝縮されているようで、磯野家も特別な家庭ではなく同じなんだなと思わせてくれました。すれ違う日常の中で、それぞれ自分たちの未来を見つめるので悲しいことに誤解も生まれてしまいます。特についつい涙してしまったのは、才能が認められパリへデザインの留学に行くチャンスを掴みかけているワカメが自分の夢に向き合うシーンです。秋元真夏さん、齊藤京子さんがダブルキャストで演じたワカメは、家族に心配されていると知りながらもどうしても勉強したいと自分の気持ちを現代の女の子として話してくれました。女性は家に入ることが多かった時代に生まれたサザエさんの中で、フネさんがその夢を応援するというのはサザエさんのストーリーが時代と共に変化しながらも続いてきたことを象徴するようでした。

物語を支える変わらない家族たち

そんな風に変化する磯野家ですが、寂しさよりもあたたかさを感じさせてくれるのは変わらない家族たちのおかげではないでしょうか。サザエさんを演じるのは藤原紀香さん。10年前から変わらぬあの髪型をしっかりキープし、家の中で太陽のように笑顔を見せてくれるサザエさんをキュートに演じているのが印象的でした。そして松平健さん演じる波平さんは、私たちが思い描く波平さんそのもの! 家族を思っているのにどこか不器用な様子は昭和のお父さんそのものでした。また、イケメンになりすぎたのでは? と当初思ってしまったのが荒牧慶彦さん演じるカツオです。小学生時代からカツオに目を付けていた花沢さんはさすがですね(笑)。イタズラばかりだったカツオも大学生になり、就職活動と卒業に悩んでいましたが、そんな中でもお調子者なのは変わらず。バイト先でカッコつけたり、家で大人げない態度を取ったりするカツオは、時代とともに変わっていく磯野家の中でも変わらない家族の関係を見せてくれました。

家族のかたちは変わっていっても、その絆や愛情は時代と関係なく変わらないということを見せてくれた舞台「サザエさん」。私もついつい感動して涙するシーンが多く、見終わった後は優しい気分になることができました。磯野家が直面した家族の問題は私たちが実際に抱える問題と同じ。それを感じるとともに、磯野家の愛情に自分の家族も重ねてしまうことができる舞台でした。

サザエさんは11月24日に今度は20年後をテーマに実写ドラマが放送されることが決まっています(https://www.fujitv.co.jp/sazaesan_20/ )。日本人なら誰もが知っているこの家族は引き続き注目を集めそうですね。

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