アニメ大国・日本の原点「白蛇伝」が4Kで復活 「公開当時の状態に近づける」ために何をしたのか

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 日本初のオールカラー長編アニメ「白蛇伝」の4Kデジタルリマスター版が11月1日、第32回東京国際映画祭で上映され、4K復元を担当した東映ラボ・テック特別顧問の根岸誠氏、東映アニメーションの制作技術室長の近藤修治氏、同第一映像企画部の伊藤志穂氏が登壇し、氷川竜介プログラミング・アドバイザーの司会でトークを繰り広げた。

近藤氏は「2017年、日本アニメーション100周年に際して国立映画アーカイブから持ちかけられ、ちょうどその時、社内でも古い作品の4Kスキャンが必要だという認識があり、(国立映画アーカイブ、東映、東映アニメーションの)3社でプロジェクトを立ち上げた」と4K復元のきっかけを説明。根岸氏は「当時はネガを保存するという概念がなく、終わったらそのままだったため、修復としてはほとんどぎりぎりのタイミングだった」と振り返った。

修復作業について技術面を担当した根岸氏は、「修復において一番大変なのは方針を決めること」と語り、「当時は大勢の人間が作画や色塗りに当たっており、人によって色が違ったりする。そういうところをどこまで直すのかを決めるのが一番大変で、ひとつひとつ話し合いながら進めた」と苦労点を述懐。直そうと思えば全て直せてしまうなか、「公開当時の状態に近づける」という方針のもと、残っていたフィルムやセル画などを参考に当時の色を想像して復元したり、背景画の紙の質感をあえて残すようにしたりしたという。

仕上がりについて近藤氏は「これまでDVDやVHSで見たことがあったが、とにかく見やすかった。社内で上映した際も若手社員から『こんなに見やすいと思わなかった』と感想が寄せられ、若い人々にも響く作品に仕上がった」と満足げ。さらに、アニメ草創期にアニメーターを目指す若者を描いたNHK連続テレビ小説「なつぞら」で「白蛇伝」をモデルとする「白蛇姫」が登場したことで全国的に作品に対する関心が高まっており、「全国から上映したいとの声が上がっている」と喜びを語った。

この後、東映アニメーションが社内で実施した若手育成プロジェクトから生まれた「ジュラしっく」が紹介され、制作に携わった伊藤氏が20~30代の若手社員が何もかも初めての中で苦労して作り上げた過程について紹介しながら「それを支えてくれたベテランの方々がいたから可能だった」と、日本アニメーションを受け継いでいこうとする人々の生の声を伝えた。

「白蛇伝」は1958年10月に公開された日本初のオールカラー長編劇場用アニメーションで、日本アニメの黎明期を担った東映動画(現・東映アニメーション)が製作。中国の民話を題材とし、白ヘビの化身である白娘(パイニャン)と、その恋人・許仙(シュウセン)の愛の物語を美しい音楽と豊かな色彩で描いている。第32回東京国際映画祭は、11月5日まで開催。

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